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選挙運動費用収支報告書と出納責任者
候補者は、選挙運動のお金を管理する出納責任者を1人決めて届け出ます。出納責任者は会計帳簿をつけて領収書を集め、投票日から15日以内に選挙運動費用収支報告書を選挙管理委員会に出します。
立候補にかかるお金の全体(供託金、選挙運動費用の上限、自己負担)は 選挙に立候補する費用 に、ポスター・ビラ・選挙カーの公費負担は 選挙公営(公費負担)の仕組み にまとめています。
出納責任者の選任と届出(第180条〜第184条)
- 1人を選任する:候補者は、選挙運動に関する収入と支出の責任者(出納責任者)を1人選任しなければなりません。候補者が自分でなることも、推薦届出者が候補者の承諾を得て選任すること(または自分でなること)もできます(第180条第1項)。
- 支出できる額の最高額を文書で決める:出納責任者を選任した人は、出納責任者が支出できる金額の最高額を文書で定め、出納責任者とともに署名押印します(第180条第2項)。
- 直ちに届け出る:出納責任者の氏名・住所・職業・生年月日・選任年月日と候補者の氏名を、文書で選挙管理委員会に届け出ます(第180条第3項)。
- 届出の前は寄附も支出もできない:出納責任者は、届出がされた後でなければ、候補者のために寄附を受けたり支出をしたりできません(第184条)。
- 解任・辞任・交代:解任・辞任は文書で通知します(第181条)。出納責任者が代わったときは直ちに届け出て(第182条)、前の出納責任者は収支を計算して引継書を作り、現金・帳簿などとともに引き継ぎます(第190条)。出納責任者に事故があるときや欠けたときは、候補者などが職務を代わりに行い、その旨を届け出ます(第183条)。
出納責任者の仕事
| 仕事 | 条文の決まり |
|---|---|
| 支出の承諾(第187条) | 選挙運動に関する支出は、出納責任者でなければできません。ただし、出納責任者の文書による承諾を得た人は支出できます。立候補準備のための支出と、電話・インターネット等を使う選挙運動の支出は除かれます。立候補準備のために候補者などが払った分は、出納責任者が就任後直ちに精算します |
| 会計帳簿(第185条) | 会計帳簿を備え、すべての寄附その他の収入と、寄附した人の氏名・住所・職業・金額・年月日、すべての支出と、支出を受けた人の氏名・住所・職業・支出の目的・金額・年月日を記載します。帳簿は収入簿と支出簿で、様式は総務省令(公職選挙法施行規則第22条)で決まっています |
| 寄附の明細書(第186条) | 出納責任者以外の人が候補者のために寄附を受けたときは、受けた日から7日以内に明細書を出納責任者に出します |
| 領収書の徴収(第188条) | すべての支出について、金額・年月日・目的を書いた領収書その他の支出を証する書面をもらいます(もらいにくい事情があるときを除く)。出納責任者以外の人が支出したときは、直ちに出納責任者に送ります |
| 保存(第191条) | 会計帳簿・明細書・領収書などは、報告書を出した日から3年間保存します |
収支報告書の提出期限(第189条)
| 対象 | 期限 |
|---|---|
| 告示の前・選挙期間中・投票日の後の収入と支出を併せて精算したもの | 選挙の期日(投票日)から15日以内 |
| 上の精算届出の後に新しくあった収入と支出 | その収入・支出があった日から7日以内 |
出すのは出納責任者で、出し先はその選挙の事務を管理する選挙管理委員会です。報告書には会計帳簿と同じ事項(第185条第1項各号)を書き、真実の記載であることを誓う文書を添えます(第189条第3項)。
添付する領収書・振込明細書
- 原則:領収書その他の支出を証する書面の写しを添付します(第189条第1項)。
- 領収書をもらいにくい事情があったとき:その旨と支出の金額・年月日・目的を書いた書面か、支出の目的を書いた書面(支出目的書)と、金融機関が作った振込明細書(金額と年月日が書かれたもの)の写しを添付します(第189条第1項)。
- 振込明細書に目的が書いてあるとき:振込明細書に支出の目的が書かれている場合(出納責任者が余白に書いた場合を含む)は、その写しを支出目的書にできます(公職選挙法施行規則第23条第3項・第4項)。
報告書の様式と書き方
報告書の様式は総務省令で決まっていて、公職選挙法施行規則の別記第31号様式に準じて作ります(第189条第2項、施行規則第23条第1項)。実際の書き方・記載例は、選挙管理委員会が配る様式と「選挙運動費用収支報告書の手引」、立候補予定者説明会の資料で確かめてください。公費負担分(ポスター・ビラ・選挙カーなど)を報告書にどう書くかも、手引の指示にしたがってください。
報告書の公表と閲覧(第192条)
- 選挙管理委員会は、報告書を受理したら、その要旨を公表します(市町村の選挙管理委員会は、あらかじめ告示した方法で、都道府県の選挙管理委員会は公報で)。
- 報告書は受理した日から3年間保存され、その間は誰でも閲覧を請求できます。
- 選挙管理委員会は、報告書の調査に必要なとき、候補者などに報告や資料の提出を求めることができます(第193条)。
支出の上限(第194条・第196条)
選挙運動に関する支出は、候補者1人につき法律と政令で決まった額を超えられません。地方議員の選挙は「選挙人名簿の登録者数 ÷ 定数」、首長の選挙は「選挙人名簿の登録者数」をもとに、政令で決まった金額を掛けて足した額です(第194条)。実際の額は、告示の後に選挙管理委員会が告示します(第196条)。次の支出は、選挙運動に関する支出でないものとみなされます(第197条)。
- 候補者・出納責任者になった人がしたもの(または意思を通じてしたもの)以外の、立候補準備のための支出
- 候補者が乗る船車馬等のための支出
- 投票日の後の、選挙運動の残務整理のための支出
- 選挙運動に関して払う国・地方公共団体の租税や手数料
上限の目安は、各選挙の 選挙に立候補する費用 のページで見られます。
違反したときの罰則
| 違反 | 刑 |
|---|---|
| 届出前の寄附受領・支出、帳簿の不備・虚偽記入、出納責任者の承諾のない支出、領収書を徴さない・送らない、報告書を出さない・虚偽記入、引継ぎをしない、帳簿などを保存しない、選管の調査への報告を拒むなど(第246条) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 出納責任者が、告示された上限額を超えて支出をし、または支出をさせた(第247条) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
- 候補者の当選無効と立候補禁止:出納責任者が第247条の罪(上限超過)で刑に処せられたときは、その候補者の当選は無効になり、5年間、同じ選挙区で同じ公職の選挙に立候補できません(第251条の2第3項)。
- 選挙権・被選挙権の停止:これらの罪で罰金刑を受けた人は、裁判の確定から5年間(執行猶予のときはその期間)、選挙権と被選挙権がありません。拘禁刑の場合も停止があります(第252条)。
よくある質問
選挙運動費用収支報告書の提出期限はいつですか?
選挙の期日(投票日)から15日以内です。告示の前・選挙期間中・投票日の後の収入と支出を併せて精算して出します。その後に新しい収入や支出があったときは、その日から7日以内に追加の報告書を出します(公職選挙法第189条第1項)。
出納責任者とは何ですか?
候補者の選挙運動に関する収入と支出の責任者です。候補者は1人を選任しなければならず、候補者が自分でなることもできます。選任したら、直ちに選挙管理委員会へ文書で届け出ます(第180条)。
収支報告書には何を添付しますか?
領収書その他の支出を証する書面の写しです。領収書をもらいにくい事情があったときは、その旨と支出の金額・年月日・目的を書いた書面、または支出の目的を書いた書面と金融機関の振込明細書の写しを添えます。真実を記載したことを誓う文書も添えます(第189条)。
収支報告書は誰でも見られますか?
選挙管理委員会は報告書の要旨を公表し、報告書を受理した日から3年間保存します。その間は、誰でも選挙管理委員会の定めるところにより閲覧を請求できます(第192条)。
収支報告書を出さないとどうなりますか?
報告書や添付書面を提出しなかったり、虚偽の記入をしたりすると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(第246条第5号の2)。
根拠:公職選挙法第180条〜第194条・第196条・第197条・第246条・第247条・第251条の2・第252条、公職選挙法施行規則第22条〜第24条(e-Gov法令検索の現行条文)。実際の様式・記載方法は、選挙管理委員会の手引と立候補予定者説明会の資料で確かめてください。