選挙に立候補する費用はいくら?
地方選挙に立候補するときのお金は、「供託金」「選挙運動の費用」「告示前の政治活動の費用」の3つに分けると整理できます。法律で上限が決まっているもの、公費で払われるもの、自分で払うものを順に見ていきます。
立候補にかかる3つのお金
| お金 | いつ | 決まり |
|---|---|---|
| 供託金 | 届出の前に法務局へ | 額は選挙の種類で決まる(15万〜300万円)。得票が没収点に届けば全額戻る |
| 選挙運動の費用 | 告示日〜投票日の前日 | 法律で上限がある。ポスター・ビラ・選挙カーなどは条例があれば公費負担 |
| 政治活動の費用 | 告示より前 | 名刺、後援会のリーフレット、ホームページ、事務所の準備など。選挙運動費用の上限とは別 |
1. 供託金
| 選挙 | 供託金 |
|---|---|
| 町村の議会議員 | 15万円 |
| 市・特別区の議会議員 | 30万円 |
| 政令指定都市の議会議員 | 50万円 |
| 都道府県議会議員 | 60万円 |
| 町村長 | 50万円 |
| 市長・特別区長 | 100万円 |
| 政令指定都市の市長 | 240万円 |
| 都道府県知事 | 300万円 |
得票が供託金没収点に届かないと、供託金は戻らず、公費負担も受けられません。計算のしかたは 供託金・没収点・法定得票数 にまとめています。
2. 選挙運動の費用には上限がある
告示日から投票日の前日までの選挙運動に使えるお金は、候補者1人あたりの上限が法律で決まっています(公職選挙法第194条、施行令第127条)。
上限 = 人数割額 × 人数 + 固定額(100円未満は100円に切り上げ)
| 選挙 | 人数割額 | 人数 | 固定額 |
|---|---|---|---|
| 町村の議会議員 | 1,120円 | 名簿登録者数 ÷ 定数 | 90万円 |
| 市・特別区の議会議員 | 501円 | 名簿登録者数 ÷ 定数 | 220万円 |
| 政令指定都市の議会議員 | 149円 | 名簿登録者数 ÷ 定数(選挙区ごと) | 370万円 |
| 町村長 | 110円 | 名簿登録者数 | 130万円 |
| 市長・特別区長 | 81円 | 名簿登録者数 | 310万円 |
| 政令指定都市の市長 | 7円 | 名簿登録者数 | 1,450万円 |
| 都道府県議会議員 | 83円 | 名簿登録者数 ÷ 定数(選挙区ごと) | 390万円 |
| 都道府県知事 | 7円 | 名簿登録者数 | 2,420万円 |
市議会議員は「人数割額 × 人数」の部分が固定額の2倍まで(上限は最大660万円)、市長・特別区長は5倍まで、知事は1.5倍まで。政令指定都市の議会議員は、同じ区域で県議選があるとして計算した額が上限になる決まりがあります。一部の区域は固定額が違います。正式な額は、告示のあとに選挙管理委員会が告示します(第196条)。
上限を計算する
自治体ごとの有権者数と定数がわかっていれば、各自治体の選挙ページの「立候補にかかるお金と決まり」に、上限の目安を出しています。
選挙の種類ごとの目安
選挙データ帳で、一次情報で有権者数と定数を確かめた自治体(選挙区)から計算した、選挙運動費用の上限の目安です。
3. 公費で払われるもの(選挙公営)
次のものは、自治体に条例があれば、上限の範囲で公費で払われます。候補者は業者と契約し、業者が自治体に請求します。
- 選挙ポスターの作成:1枚の単価の上限 × 掲示場の数など、条例で決まった枚数まで
- 法定ビラの作成:1枚あたりの上限 × 法定の枚数まで
- 選挙運動用自動車:車の借入れ・燃料・運転手の1日あたりの上限まで
- 選挙はがき:決められた枚数まで、郵送料が無料
単価と計算式は 選挙公営(公費負担)の仕組み に、自治体ごとの単価は各自治体の選挙ページにまとめています。公費負担を受けるには、得票が供託金没収点に届くことが必要です。
4. 自分で払うもの
- 選挙事務所:家賃、机・電話・コピー機などの準備
- 人件費:報酬を払えるのは、車上運動員(ウグイス嬢など)、事務員、手話通訳者などに限られます。ほかの運動員はボランティアです
- 選挙はがきの印刷:郵送料は無料でも、印刷代は自己負担です
- 個人演説会の会場費、運動員の食事(決められた範囲)など
- 告示前の政治活動:名刺、後援会のリーフレット、ホームページ、SNSの動画、プロフィール写真
公費の上限を超えた分のポスター・ビラの費用も自己負担です。ホームページやSNSは公費の対象になりません(→ 選挙用ホームページの作り方)。
費用を抑えるコツ
- 公費の上限の中で作る:ポスター・ビラは、自治体の単価の上限に収まるよう見積もりを取ると、自己負担がほとんど出ません。
- 没収点を下回らない見通しを持つ:没収点に届かないと、供託金に加えて公費の分まで自己負担になります。没収点の計算で前回の選挙から目安を出しておきます。
- 無料で届く手段を使う:選挙はがき(郵送料無料)、ホームページ・SNS(ネット選挙)は、うまく使うと費用をかけずに届きます。
- やることを早めに整理する:立候補準備チェックリストで、時期ごとにやることと、任せられることを分けておくと、急ぎの割増料金を避けられます。
よくある質問
市議会議員選挙に立候補するには、いくらかかりますか?
法律で決まっているのは、供託金30万円(政令指定都市は50万円)と、選挙運動に使えるお金の上限です。上限は「501円 ×(選挙人名簿の登録者数 ÷ 定数)+ 220万円」で、選挙データ帳で調べた市では中央値が約362万円です。ポスター・法定ビラ・選挙カーは、条例があれば上限の範囲で公費で払われます。
選挙の費用は、全部自分で払うのですか?
いいえ。選挙ポスター、法定ビラ、選挙運動用自動車などは、自治体に条例があれば、上限の範囲で公費(選挙公営)で払われます。選挙はがきの郵送料も無料です。ただし、得票が供託金没収点に届かないと公費負担は受けられません。
供託金は戻ってきますか?
得票が供託金没収点(議員選挙は 有効投票総数 ÷ 定数 × 1/10、首長選挙は 有効投票総数 × 1/10)以上なら、全額戻ります(公職選挙法第93条)。
選挙運動費用の上限を超えて使うとどうなりますか?
出納責任者が、選挙管理委員会が告示した上限を超えて選挙運動の支出をしたときは、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(公職選挙法第247条)。
選挙運動費用の上限は、いつわかりますか?
正式な額は、選挙の告示のあとに選挙管理委員会が告示します(公職選挙法第196条)。告示日の選挙人名簿の登録者数で計算するため、前もって出す額は目安です。
告示前の名刺やホームページの費用も、上限に入りますか?
上限があるのは、選挙運動(告示日から投票日の前日まで)に関する支出です。告示前の政治活動の費用は選挙運動費用には入りませんが、立候補の準備のために候補者や出納責任者がした支出などは選挙運動費用として扱われることがあるため、出納責任者と整理しておきます(第197条)。
根拠:公職選挙法(第92条 供託、第93条 供託物の没収、第141条・第142条・第143条 選挙公営の対象、第189条 収支報告、第194条・第196条・第197条 選挙運動費用の制限、第247条 罰則)、公職選挙法施行令第127条(e-Gov法令検索)。実際の額・手続きは選挙管理委員会の案内で確かめてください。