選挙期間中の選挙運動のルール
選挙運動ができるのは、立候補の届出のあった日(告示日)から投票日の前日までです。この期間に使える事務所・自動車・ポスター・ビラなどは、公職選挙法で数や方法が決まっています。ここでは主に地方選挙(議員・首長)の決まりを条文にそってまとめます。
告示日までの準備の流れは 立候補の準備スケジュール、ポスター・ビラ・選挙カーの公費負担は 選挙公営(公費負担)の仕組み にまとめています。
選挙運動ができる期間
選挙運動は、候補者の届出のあった日から選挙の期日の前日まででなければできません(第129条)。届出の前に投票を呼びかけることも、投票日当日に選挙運動をすることもできません。
選挙事務所
選挙事務所を置けるのは、地方選挙では候補者またはその推薦届出者です。置いたときはすぐに選挙管理委員会に届け出ます。場所が変わったときも同じです(第130条)。
| 選挙 | 選挙事務所の数(第131条) |
|---|---|
| 地方議会の議員・市町村長 | 候補者1人につき1か所 |
| 都道府県知事・参議院(選挙区選出)議員 | 候補者1人につき1か所(参議院合同選挙区選挙は2か所)。政令で定める交通困難等の区域では5か所(合同選挙区選挙は10か所)まで |
| 衆議院(小選挙区選出)議員 | 候補者または推薦届出者が置くものは候補者1人につき1か所。政令で定める交通困難等の区域では3か所まで |
- 移動:選挙事務所の移動(廃止して別に置くことを含む)は、1日に1回までです(第131条第2項)。
- 表示:選挙事務所を表示するためにその場所で使うポスター・立札・看板の類は、事務所ごとに合わせて3つまで、大きさは縦350cm・横100cmまでです。ちょうちんの類は1つに限ります(第143条第1項第1号・第7項・第9項・第10項)。
- 休憩所:選挙運動のための休憩所やこれに似た設備は設けられません(第133条)。
- 投票日当日:投票所の入口から300メートル以外の区域に限り、選挙事務所を置けます(第132条)。事務所の表示は当日も掲示できます(第143条第5項)。
選挙運動用自動車と拡声機
| 選挙 | 使えるもの(候補者1人につき、第141条第1項) |
|---|---|
| 地方議会の議員・長、衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員 | 自動車1台または船舶1隻、拡声機1そろい(参議院合同選挙区選挙は2台(隻)・2そろい) |
| 参議院(比例代表選出)議員 | 自動車2台または船舶2隻(両方使うときは合わせて2)、拡声機2そろい |
- 個人演説会の開催中は、その会場で別に拡声機を1そろい使えます(第141条第1項ただし書)。
- 自動車は、乗車定員10人以下で、車両総重量3.5トン未満のものに限ります。選挙管理委員会の定める表示をつけます(第141条第5項・第6項)。
- 乗れるのは、候補者と運転手(1台に1人)を除いて4人までです。乗る人は選挙管理委員会の定める腕章をつけます(第141条の2)。
- 走っている自動車の上では選挙運動ができません。停止した自動車の上での演説と、次の連呼行為は例外です(第141条の3)。
連呼行為の時間
選挙運動のための連呼行為は原則としてできません。例外は、演説会場と街頭演説の場所で行う場合と、午前8時から午後8時までの間に選挙運動用の自動車・船舶の上で行う場合です。連呼をするときは、学校・幼保連携型認定こども園、病院・診療所などの周辺では静穏を保つよう努めます(第140条の2)。
街頭演説
- 標旗:街頭演説は、演説者がその場所にとどまり、選挙管理委員会から交付された標旗を掲げて行います。標旗は候補者1人につき1つ(参議院合同選挙区選挙は2つ)で、警察官などの公務員から求められたら見せなければなりません(第164条の5)。
- 時間:午後8時から翌日午前8時までは、街頭演説ができません(第164条の6第1項)。
- 場所:長時間にわたって同じ場所にとどまらないよう努めます。学校や病院などの周辺では静穏を保つよう努めます(第164条の6第2項・第3項)。
- できない場所:国・地方公共団体が所有・管理する建物(公営住宅を除く)、電車・バスなどの車内や駅などの鉄道地内、病院・診療所などでは、選挙運動のための演説と連呼行為ができません(第166条)。
個人演説会
- 学校、公民館、地方公共団体の公会堂、市町村の選挙管理委員会が指定する施設を使って、個人演説会を開けます(第161条)。これらの施設は、同じ施設ごとに1回に限り無料で使えます(第164条)。
- それ以外の施設(建物の構内を含む)を使って開くこともできます(第161条の2)。
- 個人演説会では、候補者本人のほか、候補者以外の人も、その候補者のための演説ができます(第162条)。
- 個人演説会(政党の演説会を含む)以外の選挙運動のための演説会は、名義を問わず開けません(第164条の3)。
- 演説会場では、開催中に限りポスター・立札・看板の類を使えます。会場の外に掲示するものは、会場ごとに合わせて2つまでです(第143条第1項第4号・第8項)。
選挙ポスター
選挙運動用のポスターは、長さ42cm・幅40cmまでです(第143条第13項)。表面に掲示責任者と印刷者の氏名・住所を書きます(第144条第5項)。
| 選挙 | 貼り方 |
|---|---|
| 都道府県知事・参議院(選挙区選出)議員・衆議院(小選挙区選出)議員 | 市町村の選挙管理委員会が設けるポスター掲示場に、掲示場ごとに1枚(第143条第3項、第144条の2第1項) |
| 都道府県議会の議員、市町村の議員・長(掲示場を設ける条例がある場合) | 条例で設けた掲示場に、掲示場ごとに1枚(第143条第4項、第144条の2第8項) |
| 都道府県議会の議員、市議会の議員、市長(掲示場がない場合) | 候補者1人につき1,200枚まで(指定都市の市長は4,500枚)。選挙管理委員会の検印か証紙が必要(第144条第1項第3号・第2項) |
| 町村議会の議員・町村長(掲示場がない場合) | 候補者1人につき500枚まで。選挙管理委員会の検印か証紙が必要(第144条第1項第4号・第2項) |
掲示場に貼ったポスターは、投票日当日も貼ったままにしておけます(第143条第6項)。掲示場の数と場所は、選挙管理委員会が告示します(第144条の2第4項)。
法定ビラと選挙はがき
選挙運動のために配れる文書図画は、決められた枚数の通常はがきとビラに限られます(第142条第1項)。地方選挙の枚数は次のとおりです。
| 選挙(候補者1人につき) | 選挙はがき | ビラ(2種類以内) |
|---|---|---|
| 都道府県知事 | 35,000枚(都道府県内の衆議院小選挙区が2以上なら、1増えるごとに2,500枚を加える) | 10万枚(同じく1増えるごとに15,000枚を加え、30万枚まで) |
| 都道府県議会の議員 | 8,000枚 | 16,000枚 |
| 指定都市の市長 | 35,000枚 | 70,000枚 |
| 指定都市の議会の議員 | 4,000枚 | 8,000枚 |
| 指定都市以外の市長 | 8,000枚 | 16,000枚 |
| 指定都市以外の市議会の議員 | 2,000枚 | 4,000枚 |
| 町村長 | 2,500枚 | 5,000枚 |
| 町村議会の議員 | 800枚 | 1,600枚 |
ビラの配り方
- 配り方は、新聞折込みのほか、その候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内、街頭演説の場所での配布に限られます(第142条第6項、公職選挙法施行令第109条の6)。
- まいて配る(散布する)ことはできません(第142条第1項)。
- 選挙管理委員会に届け出た2種類以内のもので、選挙管理委員会が交付する証紙を貼ります(第142条第1項・第7項)。
- 大きさは長さ29.7cm・幅21cm(A4)まで。表面に頒布責任者と印刷者の氏名・住所を書きます(第142条第8項・第9項)。
選挙はがき
上の枚数のはがきは無料で、日本郵便株式会社で選挙用である旨の表示を受けたものでなければなりません(第142条第5項)。
回覧板などの文書図画や看板の類を多くの人に回覧させることも、配布とみなされます(第142条第12項)。
インターネットの選挙運動
- ウェブサイト・SNS:ホームページ、ブログ、SNS、動画サイトなど(電子メール以外の方法)で、選挙運動の文書図画を広めることは誰でもできます。その際、電子メールアドレスなどの連絡先が表示されるようにします(第142条の3第1項・第3項)。
- 電子メール:電子メールで選挙運動の文書図画を送れるのは、候補者と、選挙の種類に応じて決められた政党その他の政治団体に限られます。市区町村の議会議員・町村長の選挙では候補者です(第142条の4第1項)。
- 有料広告:候補者の氏名などを表示した選挙運動のための広告を、有料でインターネットに載せることはできません(第142条の6第1項)。
- 投票日当日:前日までに載せたものは、当日もそのまま見られる状態にしておけます。当日に新しく更新することはできません(第142条の3第2項、第129条)。
- 選挙に関してインターネットを使う人は、候補者への悪質な誹謗中傷などで選挙の公正を害しないよう、適正な利用に努めます(第142条の7)。
選挙用ホームページの準備は 選挙用ホームページの作り方 にまとめています。
投票日当日にできること・できないこと
| 内容 | 当日の扱い |
|---|---|
| 選挙運動(演説、選挙カー、ビラの配布、新しい投稿など) | できない(第129条) |
| 選挙事務所 | 投票所の入口から300メートル以外の区域に限り置ける(第132条) |
| 選挙事務所の表示(ポスター・立札・ちょうちん・看板の類) | 掲示できる(第143条第5項) |
| 掲示した選挙ポスター | 貼ったままにしておける(第143条第6項) |
| 前日までに載せたウェブサイト・SNS | そのまま見られる状態にしておける(第142条の3第2項) |
ここに挙げたのは主な決まりです。実際の運用(標旗・証紙・表示の交付、掲示場の場所、条例の有無など)は自治体ごとに違うため、選挙管理委員会の案内と立候補予定者説明会の資料で確かめてください。
よくある質問
選挙カーは何時から何時まで使えますか?
選挙運動用自動車の上で連呼行為(候補者名などをくり返し言うこと)ができるのは、午前8時から午後8時までです(公職選挙法第140条の2)。走っている車の上での選挙運動はできず、停止した車の上での演説と、この時間内の連呼だけが認められています(第141条の3)。
街頭演説は何時から何時までできますか?
午後8時から翌日午前8時までは、選挙運動のための街頭演説はできません(第164条の6)。街頭演説は、演説者がその場所にとどまり、選挙管理委員会から交付された標旗を掲げて行います(第164条の5)。
選挙事務所はいくつまで置けますか?
地方議会の議員と市町村長の選挙は、候補者1人につき1か所です。都道府県知事と参議院(選挙区選出)議員の選挙も1か所(参議院合同選挙区選挙は2か所)で、政令で定める交通困難等の区域では5か所(合同選挙区選挙は10か所)まで置けます(第131条)。
法定ビラはどこで配れますか?
新聞折込みのほかは、その候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内、街頭演説の場所での配布に限られます(第142条第6項、公職選挙法施行令第109条の6)。まいて配る(散布する)ことはできず、選挙管理委員会が交付する証紙を貼る必要があります(第142条第1項・第7項)。
投票日当日に選挙運動はできますか?
できません。選挙運動ができるのは、立候補の届出のあった日から選挙の期日の前日までです(第129条)。ただし、選挙事務所の表示、掲示場に貼ったポスター、前日までに載せたウェブサイトなどは、当日もそのままにしておけます(第143条第5項・第6項、第142条の3第2項)。
根拠:公職選挙法(第129条 選挙運動の期間、第130条〜第133条 選挙事務所、第140条の2 連呼行為、第141条〜第141条の3 自動車・拡声機、第142条〜第142条の7 文書図画の頒布・インターネット、第143条・第144条・第144条の2 ポスター、第161条〜第164条の3 個人演説会、第164条の5・第164条の6 街頭演説、第166条 演説の禁止場所)、公職選挙法施行令第109条の6(e-Gov法令検索)。実際の手続きは選挙管理委員会の案内で確かめてください。