立候補の届出と書類
地方選挙に立候補するには、被選挙権があることを確かめたうえで、告示日に選挙長へ届出書と添付書類を出します。市区町村議会・市区町村長・都道府県議会の選挙を例に、公職選挙法の決まりをまとめています。
届出までの準備の流れは 立候補の準備スケジュール、やることの一覧は 立候補準備チェックリスト にまとめています。
被選挙権の条件(公職選挙法第10条)
日本国民で、次の年齢と住所の条件を満たす人が立候補できます。年齢は選挙の期日(投票日)で数えます(第10条第2項)。
| 選挙 | 年齢 | 住所の条件 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 市区町村議会議員 | 満25歳以上 | その市区町村の選挙権があること(引き続き3か月以上、その市区町村に住所があること) | 第10条第1項第5号・第9条第2項 |
| 市区町村長 | 満25歳以上 | 住所の要件はない(ほかの市区町村に住んでいても立候補できる) | 第10条第1項第6号 |
| 都道府県議会議員 | 満25歳以上 | その都道府県の選挙権があること(引き続き3か月以上、県内の市区町村に住所があること。県内で引っ越した場合の特例あり) | 第10条第1項第3号・第9条第2項・第3項 |
| 都道府県知事 | 満30歳以上 | 住所の要件はない | 第10条第1項第4号 |
- 住所要件の3か月:議員選挙の被選挙権は「その選挙権を有する者」が条件です。地方選挙の選挙権は、満18歳以上で引き続き3か月以上その市区町村に住所があることが必要です(第9条第2項)。3か月の期間は、市町村の合併や境界の変更では途切れません(第9条第5項)。
- 都道府県議会の特例:県内の一つの市区町村に3か月以上住んだことがあり、その後も県内に住み続けている人は、県内で引っ越した直後でもその都道府県の選挙権があります(第9条第3項)。
- 被選挙権がない人:拘禁刑以上の刑の執行を終わるまでの人などは被選挙権がなく(第11条)、立候補できません(第86条の8)。選挙に関する犯罪による制限もあります(第11条第2項)。
引っ越しをした人など、住所の要件を満たすかに不安があるときは、早めに選挙管理委員会に相談してください。
届出の日:告示日の1日だけ(第86条の4第1項)
立候補しようとする人は、選挙の期日の告示があった日に、文書で選挙長に届け出ます。郵便などで送ることはできません。告示日は、選挙の期日から次の日数以上前と決まっています(第33条第5項)。
| 選挙 | 告示の時期 |
|---|---|
| 都道府県知事 | 選挙の期日の少なくとも17日前 |
| 政令指定都市の市長 | 少なくとも14日前 |
| 都道府県議会議員・政令指定都市の議会議員 | 少なくとも9日前 |
| 政令指定都市以外の市・特別区の議会議員と長 | 少なくとも7日前 |
| 町村の議会議員と長 | 少なくとも5日前 |
告示日の後に届出ができるのは、候補者が亡くなったり辞退したとみなされたりした場合など、法律で決まったときに限られます(第86条の4第5項〜第8項)。受付の時間と場所は、選挙ごとに選挙管理委員会が案内します。
届出の方法:本人届出と推薦届出
- 本人届出:立候補しようとする本人が届け出ます(第86条の4第1項)。
- 推薦届出:選挙人名簿に登録されている人が、本人の承諾を得て、ほかの人を候補者として届け出ます(第86条の4第2項)。本人の承諾書と、推薦する人の選挙人名簿登録証明書を添えます。
どちらも、届出には供託が必要です(第92条)。額は選挙によって違い、市・特別区の議会議員は30万円、町村の議会議員は15万円、都道府県議会議員は60万円です(→ 供託金と没収点)。
主な届出書類
法令で決まっている主なものです。様式や部数、ほかに求められる書類(写真、選挙事務所の届出、出納責任者の届出など)は選挙管理委員会ごとに違うため、正式な一覧は選挙管理委員会が配る資料で確かめてください。
| 書類 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 立候補届出書(本人届出のとき)/推薦届出書(推薦届出のとき) | 氏名(戸籍の本名)、本籍、住所、生年月日、職業、所属する政党その他の政治団体の名称などを書く | 第86条の4第1項〜第3項、施行令第89条第1項・第3項 |
| 宣誓書 | 議員選挙は「選挙の期日に住所の要件を満たす見込みであること」と「立候補できない者でないこと」を、首長選挙は「立候補できない者でないこと」を、本人が誓う | 第86条の4第4項 |
| 所属党派証明書 | 届出書に政党その他の政治団体の名称を書くときに、その団体が出す証明書 | 第86条の4第4項 |
| 供託証明書 | 供託をしたことを証明する書面(候補者になる人の氏名が書かれたもの) | 施行令第89条第2項第1号イ・法第92条 |
| 戸籍の謄本または抄本 | 候補者になる人のもの | 施行令第89条第2項第1号ロ |
| 本人の承諾書・選挙人名簿登録証明書 | 推薦届出のときだけ。推薦する人が選挙人名簿に登録されていることの、市区町村の選挙管理委員会委員長の証明書 | 施行令第89条第2項第2号 |
| 通称認定申請書 | 投票所の掲示や選挙公報などで本名の代わりに通称を使いたいときだけ。通称が広く通用していることを示す資料も見せる | 施行令第89条第5項・第88条第8項 |
- 本名で書く:届出書に書く候補者の氏名は、戸籍に書かれた本名です(施行令第89条第3項)。通称を使いたいときは、通称認定申請書を出して選挙長の認定を受けます。
- 政党などの名称が長いとき:20字を超える場合は、20字以内の略称もあわせて書きます(施行令第89条第4項)。
- 兼ねられない職や請負の関係:議員・長と兼ねられない職にあるときはその職名を、その自治体と請負などの関係があるときはその旨を書きます(施行令第89条第1項)。
- 届出の後に内容が変わったとき:すぐに文書で選挙長に届け出ます(施行令第89条第6項)。
選挙長は、届け出た人が被選挙権のない人や重複立候補(第87条)にあたると知ったときは、届出を却下します(第86条の4第9項)。
公務員の人
国や地方公共団体の公務員は、原則として在職中に立候補できません(第89条第1項)。届出をして候補者になると、その日に公務員を辞めたものとみなされます(第90条)。常勤でない消防団員・水防団員などは例外です。自分が例外にあたるかは、勤め先と選挙管理委員会で確かめてください。
立候補予定者説明会と事前審査
多くの選挙管理委員会では、告示の前に立候補予定者説明会を開き、届出書類一式の配布、書き方の説明、ポスター掲示場の数や公費負担の手続きの説明をしています。また、告示日の受付を円滑にするため、告示の前に書類を見てもらう事前審査を行う選挙管理委員会も多くあります。どちらも法律で決まった手続きではないため、日程と内容は各選挙管理委員会の案内で確かめてください。
立候補にかかるお金(供託金、選挙運動費用の上限、公費負担、自己負担)は 選挙に立候補する費用 にまとめています。
よくある質問
市議会議員に立候補する条件は何ですか?
選挙の期日に満25歳以上で、その市の選挙権を持っていることです。選挙権には、引き続き3か月以上その市に住所があることが含まれます(公職選挙法第10条第1項第5号・第9条第2項)。
市長や町長に立候補するには、その市町村に住んでいる必要がありますか?
ありません。市区町村長の被選挙権は「満25歳以上の日本国民」で、議員選挙のような住所の要件はありません(公職選挙法第10条第1項第6号)。
立候補の届出はいつ出しますか?
選挙の期日の告示があった日に出します(公職選挙法第86条の4第1項)。郵便などでは出せません。受付の時間や場所は、選挙管理委員会の案内で確かめてください。
立候補の届出に必要な書類は何ですか?
主なものは、立候補届出書、宣誓書、供託証明書、戸籍の謄本または抄本で、政党などの名称を書くときは所属党派証明書もいります(公職選挙法第86条の4、施行令第89条)。ほかに選挙管理委員会が求める書類もあるため、立候補予定者説明会の資料で確かめてください。
公務員のまま立候補できますか?
原則として、公務員は在職中に立候補できません(公職選挙法第89条)。届出をして候補者になると、その日に公務員を辞めたものとみなされます(第90条)。消防団員(常勤を除く)など例外もあります。
根拠:公職選挙法第9条・第10条・第11条・第33条・第86条の4・第86条の8・第87条・第89条・第90条・第92条・第266条(特別区には市の規定を適用)、公職選挙法施行令第88条・第89条。実際の書類の様式と受付の手順は、選挙管理委員会の案内と立候補予定者説明会の資料で確かめてください。